牛深青年会議所
第45代理事長 深川 英範
【はじめに】

牛深青年会議所の存在意義を考えるとき、最初に思い浮かぶことが青年会議所の綱領にある「明るい豊かな社会を築き上げよう」という一文です。ではそもそも社会とは何なのでしょうか。

「(人が)集まって生活を営む集団・同類の仲間・世間」と辞書には記されています。つまり社会とは、複数の人が集まることによって初めて形成されるのです。また複数の人が特定の地域に住み、安定した衣食住を得るには安定した産業が必要です。そして、この世に存在する全ての産業は資源を利活用することで成り立っています。資源があるからこそ産業が興り、産業があるからこそ人が集まり、生活することで社会をつくるのです。

つまり、明るい豊かな社会を築くためには、複数の人(人口)・産業・資源についての問題や課題と真剣に向き合い、それらを打開し持続可能なものへとしていくことが必要なのです。

【人口問題への意識改革】

日本では1.57ショック以降、人口の自然減を克服すべく様々な少子化対策がなされてきました。しかし急速に進む人口減少にインフラ整備が敵わず、未だ明確な成果を上げておりません。さらに地方では、将来世代の形成が期待される若い世代が大量に流出する社会減もあいまって、都市部に比べて急速に人口が減少しています。これは私たちの住み暮らす牛深においても例外ではありません。人口減少により公共施設の減少や施設利用料の上昇などの行政サービス縮小が余儀なくされ、民間企業では常に労働力不足という問題を抱えています。しかし、このような状況ではありますが、明るい兆しも見えてきています。それが外国人研修生の存在です。一部では昨今の研修生の急速な受入拡大について否定的な意見も出ており、法整備が追いついていない部分もありますが、地方民間企業において、研修生は企業存続のために必要不可欠であり、研修生は毎年増加しているのも事実であります。そして、視点を変えれば、研修生は同じ地域で住み暮らし、共に牛深を支える仲間であり、人口減少についても歯止めを掛け得る存在であると私は考えます。しかし、この牛深地域でも研修生の受け入れに対し、様々な意見があるのも事実です。このような多くの意見を少しでも地域のために良い方向へ変えていく必要性があります。ですが、このまま私たち住民が何もしなければ、文化や習慣の違いにより住民と研修生の間で軋轢を生み、最終的には人口減少が進み地域の弱体化が進むのではないかと危惧しております。そのような結果を生まないためにも、お互いの文化や習慣を知り、対話をし、相互理解していくことで、研修生にとって働きやすく住みやすい地域になることが必要不可欠であり、それこそが人口問題の新たな解決策の一つになると考えます。

現在、行政や企業では、研修生に対して地域の理解を深めるために牛深ハイヤ祭りへの参加など様々な取り組みが行われております。しかし、それだけでは牛深地域に対して研修生の理解が深まるだけで、地域住民が研修生の文化や歴史を知ることにはつながらず、研修生にとって働きやすい、住みやすい地域になっているとは言えません。

歴史や文化が違う研修生と牛深の住民の相互理解を深めていくためにも、今以上に牛深地域住民と研修生が触れ合う機会を増やし、現在ある壁を少しでも失くしていくことが、外国人研修生が働きやすく、住みやすい地域になり、それこそが牛深の人口問題に対して新たな答えに繋がると考えます。

【地域資源を活かした産業の見直しと発信】

私たちが住み暮らす牛深には、かつて地下資源として良質な無煙炭が採掘される魚貫炭鉱があり、海洋資源としては、アジ・サバ・イワシなどの水揚高が長崎市に次いで全国2位になるほど豊富な漁獲がありました。しかし、1960年代のエネルギー革命により、日本政府が安い石炭を海外から輸入する政策に変わったことが原因となり、1975年には魚貫炭鉱は閉山しました。また、豊富な漁獲量を誇った牛深沖では1960年代から不漁となり、一時は未開発で広大な漁場のある鹿児島県沖で活路を見出しましたが、現在牛深地域には巻き網船団は1船団もいない状況となっています。これまで支えていた大きな産業が失われ、それに伴いその他の産業も縮小し、牛深の経済は落ち込んでいく一方かと思われました。しかし、現在も牛深には力強い産業が存在しており、確実に成長している産業もあります。歴史を振り返ることは重要なことですが、「炭鉱の町」「県内随一の水産基地の町」と過去の栄光に囚われるのではなく、先人たちの知識を活用し、想いを紡ぎ、これからの牛深の歴史を築くための糧とするべきだと考えます。私たち牛深青年会議所は、牛深地域に既存する産業で、未だ周知されていない産業に光を当て、地域の魅力を発掘し、さらに地域内外に広く発信していくことで、牛深地域の新たな可能性を見出し明るい豊かな牛深を創りあげます。

【持続可能な社会づくり】

現在私たちは、経済発展や技術開発により物質的に豊かで便利な生活を享受しています。しかし一方で、私たちのこの便利な生活は、人類が豊かに生存し続けるための基盤となる地球環境の悪化をもたらしてもいます。

近年、私たちが住み暮らす牛深では、環境の変化から年々漁獲量が減り、養殖漁業でも赤潮の大量発生により養殖魚の大量斃死という問題が起こっています。こういった自然環境の変化により、産業の存続自体が危ぶまれているのです。

人は資源なしには生きていけません。モノをつくる事も、食べる事も、資源に依存しているといって過言ではありません。私たち人間は、この地球上で生きていく上で、資源の恩恵を受けております。だからこそ、資源を持続可能なものにしていく義務を負っていると私は考えます。

そこで私たち牛深青年会議所は、この牛深の限られた資源を未来へと残していくため、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDG‘s)に沿う運動を牛深地域で強く広め、地域が持つ資源を守る意識を高めていくことで、持続可能な牛深を創り上げていきます。

【さいごに】

2020年度、牛深青年会議所は、【人口増加への意識改革】・【地域資源を活かした産業の見直しと発信】・【持続可能な社会づくり】の3本の柱を軸に活動・運動を展開し、未来を描くことで「明るい豊かな牛深」を創造していきます。そして、通年事業、依頼事業、脈々と受け継がれてきた「気配り」や「おもてなしの心」を忘れず、感謝の気持ちを持って全力で取り組みます。また、JCだけでなく、JAYCEEとしてもすべての活動に精一杯取り組み、常に先頭に立ち続けることで、会員一人一人が地域のリーダーとして成長できる牛深青年会議所を創りあげます。

さらに、本年度の活動・運動を通して、多くの人々と手を取り合い協力し、ともに歩み、ともに未来を創造することで、より明るい豊かな牛深になることを信じて、一年間邁進します。

継 往 開 来

〜牛深の未来を創造せよ〜
  • 人口問題への意識改革
  • 地域資源を活かした産業の見直しと発信
  • 持続可能な社会へ
  • 牛深青年会議所の活動・運動の推進